台東区にある玉姫稲荷神社で「お穴様」と白木葉子にあってきた。
台東区にある玉姫稲荷神社
ある夏の日、俺はドヤ街山谷を散歩をしていた。
玉姫公園で、チューハイ片手に寛いでいると公園の住人のおっちゃんにその日の夜、玉姫公園脇のグラウンドで夏祭りがある事を教えてもらう。
「それは面白そうだな」と、お祭りまでの時間、公園周辺で時間を潰す事にした。
ふらふらと公園の周辺を歩いていると、まるで誘っているかのように神社が姿を現した。
「時間を潰すには丁度いいな」と神社の中へ
境内を散策していると、山谷には似合わない、とても美しい女性と俺は出会った。
遠くを見る眼差し、何処か影のある妖艶な美人。
「あれ!?あんたは、ひょっとして葉子お嬢さんじゃねーか!」
俺は思わず声をかけてしまった。
「あら、ごきげんうるわしゅう」
俺は小一時間、白木葉子とボクシングの話をして時間潰していた。
すると背後から鋭い視線を感じた。
「少年院だの警察署以外で初めて会えましたねお嬢さん」
ハッ!と振り向くとそこには…
ジョ――――――――――――――!
まさかこんな所で丈に会えるなんて…
俺は感極まり丈に声をかけようとしたその瞬間、
「好きなのよ矢吹くん! あなたが!! 好きだったのよ…最近まで気がつかなかったけど…。お願い…わたしのために、わたしのためにリングへあがらないで!!」
白木葉子が叫ぶように言い放った。
おっとこれは…俺はお邪魔虫だな…へへへ
おれは、二人の邪魔にならぬようそっと、その場を離れた。
すると境内の端にもう一つ稲荷神社がある事に気づく
口稲荷神社…気になるな…
中へ入るとお堂の脇に道が続いてる…
まるでお稲荷様が誘っているかのようだ。
俺は、狐に誘われるままに奥へと向かった。
奥へと行くと狐が2匹。
まるで洞窟のような雰囲気の道が続く。
そして左へと曲がる。
何とそこには…
「こっこれは、お穴さまじゃねーか」
なんという素晴らしい狐の巣なんだ。
運命的に出会った、この穴蔵をじっくりと眺めていると…
意識が朦朧としだした。
俺の体は見る見る小さくなりこの洞窟へダイブ!
そして狐に化かされるかのように、お稲荷様達から飲めや歌えやのもてなしをうけた。
気が付くと俺は、祭りあとの玉姫公園でダンボールを布団に寝ていた。
あれは一体なんだったのだろう…
奇妙な体験だったな。