絶滅危惧バーガー店/マイナーバーガーチェーン「ロッキーバーガー」利根・関宿店

マイナーバーガーチェーン「ロッキーバーガー」
1970年代マクドナルドが巻き起こしたハンバーガーブーム。
その波に乗り沢山のマイナーバーガーチェーンが誕生した。
乱立するバーガーチェーン店…
幼い頃、何の疑問も無く食べていたバーガー達…
しかし、その殆どは姿を消していった……
幼き頃、俺の住んでいた街には、ロッキーバーガーなるチェーン店が存在した…
関東北部を中心に数十店舗存在していたロッキーバーガー。
初石駅前の現ピザクラブになっている場所にあったロッキーバーガー。
塾の帰りに良く行っていた。
我孫子や柏に行った時も、食べると言えばマクドナルドでは無くロッキーバーガーだった…
いつしか店も無くなってしまい、記憶から消えてしまっていたロッキーバーガー。
しかし、やつはまた俺の前に再び姿をあらわした。
2年程前、利根町をドライブしていた時だった。
なんの気なしに視界へ移り込んだ「ロッキー」と書かれた看板…
最初は「おっハンバーガー屋か!」位にしか感じなかった。
個人経営のハンバーガー屋。
うまそうだな…
そう思い店の脇に車を停めた。
車から降り店へと向かう。
ロッキーバーガーの文字が視界に入る。
あれ?ロッキーバーガー?何か聞き覚えがあるな…
しかも良く見ると利根店と書かれている。
あれ?ここチェーン店?
いやちょっと待てよ…そういえば…
20年以上前の記憶が蘇る…
ロッキーバーガー!ってあのロッキーバーガーか!!
俺は、店内へと勢いよく駆け込んだ。
店内の色褪せたメニュー…
記憶の片隅…似たような写真のメニューが、初石店にもあった気がするな…
懐かしさがこみあげてきた。
ワンオペで切り盛りしている、店員のおばあちゃんに尋ねた。
間違いなくロッキーバーガーだった。
とっくの昔に本社は潰れてしまったそうだが、屋号はそのままに独立して経営しているのだとか。
他にも何店舗か、そういった形で経営していたそうだが、もうほとんど潰れてしまい2店舗しか残っていないそうだ…
俺は嬉しくなり、店主へ大量に注文した。
懐かしい味がするポテト
懐かしい感じのテリヤキバーガー
そしてチーズバーガー
さらには、あげぱん…
えっ揚げパン?だと…そんな物あったかな…
何にしても美味い。
店内から覗く素敵なカントリー風景。
初めての店舗なのに、何から何までもが懐かしく感じる。
記憶が刺激される。
「のんきくん」に憧れて、「いまどきのこども」を意識して塾帰り食べたチーズバーガー。
鮮明に思い出す。
俺は、そんな思い出の食事を楽しみ帰路へと向かった。
それから、1年程してロッキーバーガー利根店が、おばあちゃんの体力の限界から閉店してしまったと風の噂で聞いた。
閉店か…残念だな…
その時、ふと店員のおばあちゃんが言っていた、もう一店舗の存在を思い出した…
俺は、「OKグーグル」と叫んだ…
またしてもカントリーロードへと誘われた…
場所は野田市の関宿。
グーグルに導かれた道を、ひた歩く。
何やら見えてきたぞ…
ロッキーバーガー フレンド 関宿店の文字。
間違いないここだ…
外の看板に書かれたメニュー。
利根店もそうだったが、お値段据え置きなのか安い。
当時から時が止まっているかのようだ…
そして、オリジナルメニュー多いな…
屋号は一緒だが、独立系ハンバーガー店って感じだな…
店内に入り、ハンバーガーセットを注文した。
イートインスペースのような場所もあったが現在は使用されておらずテイクアウトのみとの事だった。
「利根店が潰れてしまい、ここが最後の店舗らしいですね」と、やはりワンオペのご年配の店主に伝えた。
優しい笑顔が返ってきた。
この店も体力の限界から近々姿を消してしまうのかもしれない…
そう思うと、笑顔に少し哀愁を感じた。
頑張って営業を続けてください…俺は心の中でつぶやいた。
俺は近くの土手へと向かった。
ハンバーガーを袋から取り出した。
ハンバーガーのパッケージの紙は利根店と一緒だ……
利根店のおばあちゃんの笑顔を思い出す。
しかし中のテリヤキバーガーは、ケチャップベースで利根店の物とは違う物だった…
思い出の味…
利根店で感じた初石店の思い出の味…
あれも違かったのかもしれない…
哀愁…そして利根店への追悼…
初石店の思い出。
やけにポテトがしょっぱく感じるな…
涙が頬をつたう。
うめーな…ポテト。