外れくじを供養する/大久保通り「宝禄稲荷神社」
大久保通り「宝禄稲荷神社」
年末ジャンボ宝くじ…
一年に一度夢見る年末。
昨年も、全力でぶつかった結果…
つわものどもが夢の跡 。
人生は幻 。
夢幻泡影。
無念…
しかし、俺の見落としがあるかもしれないと、外れクジも一緒に持って宝くじ売り場へと向かった。
300円と共に帰ってきた9枚の外れクジ。
俺は、怨念の籠った外れクジを持ち、何かに誘われるよう大久保通りを歩いていた。
殺風景な神社の前を、通り過ぎようとした時…
「こっち…おいで…おいで…」
囁き声が聞こえた。
俺を…呼んでいるのか…?
俺は、恐る恐る神社へと近づいた。
「たから?ろく…いな…り…じんじゃ?」
何と読むのだろう…
その時また囁き声がした…
「永遠に供養しろ…その宝……」
供養?たから…?
ハッとした。
「宝くじの事か??」
壁に視線を向けると、何か書かれている。
「はずれたクジを納めて丁寧に供養する」と書かれていた…。
扉の小窓を覗くと、沢山の外れクジが納められていた。
なるほど…
怨念の籠った外れクジが、供養されたがって、俺をここえ誘ったって事か…
俺は、そっと外れクジを小窓から納め賽銭を投げ入れ供養した…
俺は手を合わせつぶやいた…
「夢をありがとう…」
そう…俺は、そうつぶやいたんだ…
帰ろうとした時にまた、囁き声が聞こえた…
「永遠に供養しろアンジェ…俺の宝クジも含めて てめえが買った宝くじのな…」
俺は振り返った…
狐…
いや兎…
どっち…
けどこれで…これで…今年の年末こそは…