和菓子屋?ラーメン屋?一瞬和菓子屋かと思うラーメン屋/流山 ヌードルズ&サルーン キリヤ (The Noodles & Saloon Kiriya)
流山にあるヌードルズ&サルーン キリヤ (The Noodles & Saloon Kiriya)
一年程前になるだろうか…
ある晴れた日曜日。
俺は、朝飯を食おうと初石を放浪していた。
俺の胃を、刺激してくれそうな店が、中々見つからず疲弊していた。
空腹と疲れで、頭がボーっとしてきた。
そんな時だった…
一軒の和菓子屋が視界に入った。
和菓子か…
空腹は、限界に達していた…
このさい和菓子でも良いか…
フラフラと店へ吸い寄せられていく。
店頭に置いてあった看板のメニューに目をやる。
異変に気が付く…
らーめん…
どういう事だ…
和菓子屋なのにラーメン??
頭がパニックになる…
もう一度店のシェードに目をやる。
和菓子…おおつ…き…
やはり和菓子屋…
店の壁に視線をやるとKIRIYAと書かれている…
あれ…店名が違う…
もしや上の看板はトマソン…
駄菓子屋が閉店した場所で、ラーメン屋を始めたが看板を直してないパターンで作り上げられた看板のトマソンって事か…
面白い…
時刻は、朝9時を少し回った所。
店はもうやっている。
朝ラーか…しかもトマソンの看板…
俺は、運命を感じた。
今日の朝飯は、ここしか無いな。
俺は店に入った。
店内は7割がた埋まっていた。
空いていたカウンター席に着いた。
外の和菓子屋の看板からは想像もつかない洋風でお洒落な店内。
予想以上にお洒落な店内。
面喰った。
朝飯を食うだけだと思い、寝癖に上下スエットの俺。
お洒落とは、無縁の姿に羞恥心が顔を出す。
しかし冷静を装い、メニューに目を通し注文。
ほどなくして、朝だというのに続々と客が入ってきた。
9時半になる頃には、店内は満席。
どうやら噂の人気店のようだ…
家族連れの素敵なファミリーから、ロックな感じのお洒落な常連客…
店の雰囲気にそぐわないダサいオレ…
注文して15分。
気恥ずかしさから時間が永遠に感じた…
ラーメンと丼が着丼。
なんて色味の綺麗なラーメンなんだ…
目を奪われる…
サイドメニューの丼は、もはや主役級の存在感。
これがまずいわけがない…
羞恥心が消えていくのを感じた…
今、俺の脳は、このラーメンと丼を欲している。
それだけだった。
早く胃へと運びたい欲求を抑え、目で麺と丼を楽しんだ。
そして欲望が臨界点へ達した時、空腹の胃へ熱々の麺を一気に流し込んだ。
美味…
目が覚める…
覚醒…
空腹と疲弊そして羞恥心で停止していた脳がロックする。
胃から幸福感が脳へと伝わる。
脳内麻薬がビンビンに出ている。
周りの目を気にせずガツガツと麺と丼を頬張り汁をすする。
完食。
美味かった…
脳からよだれがバシバシに出ているのがわかる…
思考は停止している。
気が付くと無意識の内にもう一杯ラーメンを頼もうとしている自分がいた。
注文を頼もうと、「すいませ……」と言葉を口に出した所でハッと我に変える…
待っている人もいるし…朝からラーメン2杯…それはヤバいな…
俺は、おかわりの言葉を飲み込み「…ん…お会計をお願いします…」
とそっと言葉を発した…
素晴らしい味だったな…
また食べにゆきます…