牛丼それは男の欲望を満たす食物/新橋「なんどき屋」

牛丼それは男の欲望を満たす食物/新橋「なんどき屋」

新橋「なんどき屋」の牛めし

俺の中で、宇宙一美味い食い物「牛丼」

初めて牛丼を知ったのは5歳の頃。

兄が読んでいた漫画「キン肉マン」の1巻に載っていた。

何の気なしに漫画を開くと其処には、第一話からガツガツ牛丼を食べるキン肉マン。

第三話では、牛丼ひとすじ八十年♪とキン肉マンが当時のCMソングを歌い、

第4話では、着物を着た女性が「ここは吉野家 味の吉野家」と演説をする当時のCMのパロディが書かれていた。(アニメでは、スポンサーの関係からか牛丼ひとすじ300年に変っている)

そのあまりにも美味そうな描写に、俺の胃は刺激された。

牛丼ってなんだ!吉野家って何なんだ!!

すぐさまお父様に、おねだりをして食べに行った。

その時の事は、今も鮮明に覚えている。

初めて食べた牛丼。

その美味さに俺は、まるで天にもでも昇る気持ちだった。

それからの俺は、牛丼で育ったといっても良いだろう。

思春期の頃は週7で食べていた。

牛丼それは俺にとって…

ソールフード。

おふくろの味。

欲望を満たす食物…浪漫…夢…

新橋「なんどき屋」の牛めし

あれは先日、新橋を散策していた時の事だった。

突如感じた牛丼の匂い…

辺りを見渡すが、牛丼屋らしき店は無い…

あったのは24時間の居酒屋。

しかし俺の牛丼レーダーはビンビンに反応している。

自分の嗅覚を信じ店内に入ってみる事に。

新橋「なんどき屋」の牛めし

店内は完全に居酒屋…

昼から飲んだくれるプロ呑兵衛達…こりゃ牛丼は無さそうだな…

やっちまった…俺はただ牛丼が食いたいだけだ…酒はいらね…

どーする…店員の突き刺さる視線…このまま店を出るってわけにはいかなそうだな…

新橋「なんどき屋」の牛めし

一杯飲んで店を出るか…落胆の色を隠し席に着いた。

メニューに目を通す。

すると何と其処には「牛めし」の文字が!

胸のざわつきが押し寄せてくる。

新橋、24時間、居酒屋の牛飯…なんてそそるシュチュエーションなんだ。

絶対にうまいはずだ。

俺は力強く牛丼を注文した。

牛丼 新橋「なんどき屋」

牛丼を注文した俺は、緊張感から解放され店内に視線をやる余裕が出てきた。

厨房を覗くと其処には美味そうな牛丼のタレに肉などの具材が煮込まれているではないか。

こりゃ本格的だな…

期待で胸が高鳴る。

牛丼 新橋「なんどき屋」

ほどなくして牛丼が提供される。

本格派。

こりゃ何て美味そうな牛丼なんだ…

ゴリゴリの濃いタレで黒々と煮込まれ、こんにゃくの入っている昔ながらのスタイル。

牛丼 新橋「なんどき屋」

早く食べたいと逸る気持ち抑え、生卵をかき混ぜ牛丼にかける。

七味を振りかけたら準備完了だ。

いざ実食!!

味は、見た目ほど濃く無く丁度いい。

そして吉野家でも、松屋でも、すき家でもないタレの味わい。

玉葱のほのかな甘み。

清澄で豊潤な肉のうまみ。

こんにゃくの柔らかい弾力で押し出される歯ごたえ。

美味い…

なんて美味いんだ。

一気に牛丼を完食する。

全身から発した牛丼へ対する欲求が満たされていく。

幸せだな…

俺は、口の中の牛丼の余韻を味噌汁で一気に胃へと流し込み会計を済ませた。