巨大・秩父/温泉宿に宿りし不動明王/「秩父開運不動尊」
夢枕に立たれた不動明王に、示され霊泉の湧く温泉宿
コンクリート像…
それは…
読んで字の如く…
コンクリートで作られた像…
昭和のカウンターカルチャーの一つであり…
オリジナリティ高く…その荒々しい造りは、唯一無二の物が多い…
そんな心揺さぶられるコンクリート像が日本津々浦々にある…
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ある晴れた日の午後…
俺は、仕事で秩父にいた…
昼飯を食べ街をぶらぶらとしていると…
視界に入りこんだ不動の湯の文字…
銭湯か?温泉か?
ああ…くそ…
何だかひとっ風呂浴びたくなってきたな……
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風呂に誘われるがままふらふらと歩いた…
辿り着いた一件のお宿…
霊泉旅館の文字…
旅館か…
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スロープを下がっていく…
迷路みたいな変わった造りだな……
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さらに下へと降りる…
玄関…
さっき宿の看板があった場所が屋根部分だったのか…
何だかワクワクしてくる…
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中へと入る…
誰もいない…
恐る恐る声を出す…
「すいませーん」
「………」
誰も来ない…
意を決し大声で呼ぶ…
「はーい」
奥から女将が姿を現した……
風呂に入れるか聞くと…
3時までだったら入れるとの事だった…
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俺は風呂場へと向かった…
古いコーヒーの自販機…
増築に増築を重ねたような迷路のような通路…
感じる昭和臭満開のタイル風呂……
千と千尋の世界観…
たまに来るならこんな宿だな…
宿泊したい…
などと、考えながら風呂を頂き仕事の疲れを取った…
風呂からあがり宿を後にしようとした帰りがけに…
女将から、宿の奥にお不動様が、いらっしゃるから良かったらとすすめられた…
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玄関を出ると目の前に参道があった…
なんつーか…
あれだな…
感じる…
本物の雰囲気ってやつを…
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奥へと進む…
なんだこの漫画みたいな雰囲気は…
ボイラー室のような所に平均的な感覚で巻き付けれた、のぼり旗…
計算されてない怖さ…
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さたに奥へと進む…
しなびた…のぼり旗…
まるで…あの世とこの世を繋ぐ橋…
ザワツキは増すばかり…
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川を渡る…
な…何かみえる…
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あっ…
あれが…
お不動様…
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小走りで近づく…
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圧巻のド迫力…
俺は秩父のはずれで神を見た……
ほっほんものや…
ほんまもんのお不動様や…
やり過ぎなまでの見得…乙だな…なんて乙なんだ…
荒々しく雑な造りはまるで円空…
そして感じるパワー…山のフドウのごとし…
南斗五車星…
熱い物が頬をつたう…
涙を流さずにはいられなかった…
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一礼しお不動様の横を通り奥へと進む…
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良く見ると…のぼり旗は手書き…
DIY…
全てがDIY…
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そしてお不動様の、ソノサキは…
お堂が…
これ以上…ソノサキは無さそうなので…
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引き返す…
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それにしても…
この廃退的な雰囲気…
出そうと思って出せる物じゃない…
無計算の中にある計算…
こういう空間を作れる人間は…ある種の天才だな…
アート…感じる…
そんなお宿…
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そして謎の橋…
トマソン…
超芸術…
一日いても飽きなそうだな…