池袋/ディープなうどん屋「素うどん四國屋」
池袋 「素うどん四國屋」
うどん…
それは、つるつるしこしこ美味しい食べ物…
日本人の…江戸の…ソウルフード…
粋に、あつあつのうどんを冷まさずに一気に喰らう…
しかし池袋で出会ったうどんは俺の知っているウドンでは無かった…
あれは数年前に仕事で池袋を訪れた時の事だった…
視界に入りこんだ一見の店…
店前が何やらゴチャゴチャしている…
看板には素うどんの文字…
店の目の前で足を止め、壁に貼ってあるメニューに視線をおとした…
何だろう…感じる違和感…いや異空間の匂い…
このウサギやペットボトルのフタは何故ここに置かれているのだろう…
カオスだ…
しかし安いな…
てか素うどんって何だろう…
具無しうどんの事なのだろうか…
気になるな…店に入ってみるかな…
扉が空いていたので店に入ろうと思ったが足元にはバリケードが…
やってないのか?
店内を覗きこむ…
狭い…
その狭い店内には誰もいない…
大声で「すいませーん」と叫んだが何の返事もない…
あれ…もしかして…やってない…
入り口に11時30分から深夜2時って書いてあったけどな…
今12時でめっちゃ昼飯時なのに…
何だ…くえねーと思ったら余計に食いたくなってきたぞ…
俺は店の前で立ち尽くしていた…
すると…
背後から男性にから声をかけられた。
振り向くと初老の男性が立っていた…
「今野暮用でいないから早ければ14時、まー遅くても16時には戻ってくると思うよ…俺も今待ってんだよw」
初老の男性にそう言われた…
マジか…
俺は足早に仕事をすませ14時過ぎに再び店へと訪れた…
すると…先ほどのバリケードが無くなっていた…
テンションが上がる…
小走りで店へと駆け寄った…
店内へ入ると先ほど初老の男性と店主のおぼちゃんが暖かく出迎えてくれた…
狭い店内に一生懸命に席をおばちゃんが作ってくれた…
仕事も終わっていたので、缶チューハイと素うどんを注文…
すると、うどん出来るまで食べてて~と枝豆がサービスで出てきた。
まじか…サービスいいな…
枝豆を食べチューハイを飲んでいると、「漬物も食べな~」とまたサービス。
なんてサービスが良い店なんだ。
カオスな外観だが、心意気とサービスは一流だな…
関心していると先程の初老の男性が声をかけてきた…
「この店サービスいいだろ~へっへっへ…」
初老の男性はフリーのジャーナリストだと名乗っていた…
しばらく男性と話し込んでいると…うどんがきた…
こっこいつが素うどんか…
全然具入ってるじゃねーか…
けど汁が無い…いやそんな事より美味そうじゃね…
玉子 納豆をぐちゃぐちゃに混ぜ一気に胃へとぶっこんだ…
うめぇ…
胃から幸せを感じセルトニンが分泌されていくのを感じる…
エンドルフィンも出まくりだ…
おばちゃんを見る…目が合う…ニヤリと笑うおばちゃん…
「卵と納豆いれ方がね美味しいのよ」
うん…どうやらトッピングもおばちゃんがセルフでしてくれたようだ…
サービスいいな…
ピリリと辛く謎のタレで味付けされている素うどんに、卵と納豆が見事にマッチしている…最高…
俺は一気に平らげた…
口の中に広がる旨みの余韻をチューハイで洗い流しお会計…700円…安い…
帰ろうとした時に、謎のジャーナリストの男性に紙を渡された…
店を出て紙を広げると電話番号が書かれていた…
やべーな…池袋…最高にカオスだぜ…
今度電話をかけてみるかな…
そう思った俺の足取りは軽かった…